看護師として働いていると、ふとした瞬間に「ばかばかしい」と感じてしまうこと、ありませんか。
誰かが悪いわけでもなく、でも心がすり減ってしまう場面があるんです。
このページでは、そんな気持ちがどこから来るのかを丁寧にたどりながら、心を軽くするヒントを集めました。
同じような気持ちを抱えていた人の声や、心理の観点からの視点も交えてお届けします。
看護師が「ばかばかしい」と感じるのはどんなとき?

「こんなことに意味があるのかな」
そう思ってしまうこと、実はそんなに珍しいことではありません。
看護師という仕事は、命と向き合う責任の重さと、対人関係の密度がとても高い職業です。
その一方で、現場では理不尽や不公平を感じる瞬間もあり、「ばかばかしい」という感情につながってしまうことがあります。
ここでは、現場でよく聞かれる声をもとに、そう感じるシーンを紹介していきます。
理不尽な上下関係に心がついていかない
「それ、先輩の気分で言ってるだけじゃない?」
そんなモヤモヤを抱えたことがある人もいるのではないでしょうか。
看護の現場では、年功序列や昔ながらの価値観が色濃く残っていることがあります。
もちろん、先輩の経験は大切です。
でも、それが一方的な指示や感情的な態度になってしまうと、受け手の気持ちは置き去りにされてしまいます。
本当はもっと対等に話したいのに、逆らうわけにもいかず、「なんでこんな思いをしなきゃいけないの」と感じることも。
理不尽さの中で働き続けると、やりがいや使命感よりも、苦しさの方が強くなってしまいます。
少しでも気持ちに違和感を覚えたら、自分の心に問いかけてみるといいかもしれません。
頑張っても評価されないとき
休憩時間を削って働いた日もあれば、夜勤明けでそのまま会議に参加することもあったりします。
でも、誰にも気づかれず、当然のように扱われると、報われなさが積もっていくんですよね。
感謝の言葉ひとつもなく、淡々とスケジュールがこなされていくと、「私の頑張りって、意味あるのかな」なんて思ってしまう瞬間が出てきます。
誰かに褒めてもらいたいわけじゃなくても、少しのねぎらいがあるだけで心は救われます。
頑張りが見えづらい仕事だからこそ、「それくらい普通でしょ」と思われやすいのも現実です。
それが「ばかばかしい」という感情につながってしまうこと、あるかもしれません。
責任だけが増えていく現場の空気
新しい後輩が入ってきたり、スタッフの人数が足りなくなったり。
そんな中で、気づけば仕事量だけがどんどん増えていくことがあります。
「誰かがやらなきゃいけないから」と引き受け続けた結果、自分のキャパシティを超えてしまうことも。
そして、頑張っても何か問題が起きれば責任を問われる。
そのくり返しの中で、ふと「ばかばかしい」と感じてしまうのは無理もありません。
重たい責任感と孤独感が心をじわじわと追い詰めていくのです。
それでも誰にも言えず、ひとりで抱え込んでしまう人が多いのも、看護という仕事の特徴かもしれません。
患者と向き合うより事務作業が多いとき
患者さんのケアに集中したいのに、記録や報告に追われてばかり。
本来の看護の仕事がどこかへ押しやられているような気がして、「私は何のためにここにいるんだろう」と考えてしまう人もいます。
もちろん事務作業も大事ですが、そればかりが重視されてしまうと、看護師のモチベーションが削がれてしまうんです。
やりがいや喜びを感じる瞬間が減ってしまうと、日々の仕事がどんどん無味乾燥なものに変わってしまいます。
「もっと人と向き合う仕事だと思っていたのに」
そんなすれ違いが、「ばかばかしい」という感情を呼び起こしてしまうこともあるようです。
「ばかばかしい」と感じる感情の正体とは

ときどき、心にふっと湧いてくる「ばかばかしい」という感情。
それは単なる不満や愚痴ではないこともあります。
この言葉の奥にある気持ちに目を向けてみると、自分自身への理解が深まることがあります。
無理を続けてきた人ほど、その奥にある感情に気づきにくいことも。
ここでは、「ばかばかしい」という感情が生まれる背景にあるものを、少しずつ紐解いていきます。
怒りや虚しさの裏にあるもの
怒っているように見えて、実はすごく悲しかった。
そんな経験、思い返してみると意外とあるかもしれません。
「ばかばかしい」と口にするその瞬間、本当は自分でもどうしようもない無力感に包まれていることがあります。
やりたかったわけじゃないのに頑張ってきた。
それなのに結果は報われず、誰にも分かってもらえなかった。
そうした積み重ねが、怒りや冷めた気持ちに変わることがあるんです。
感情にはいくつもの層があって、上に見えているのはほんの一部。
表面だけで判断しないで、自分の中で何が起きているのか、やさしく問いかけてみてください。
まじめな人ほど心をすり減らしやすい理由
真面目な性格は、看護の仕事ではとても大切な強み。
でも、ときにそれが自分を追い込む要因になってしまうこともあります。
たとえば「責任感が強すぎる」「ミスを絶対にしたくない」「周囲に迷惑をかけたくない」と思うあまり、気づかないうちにプレッシャーを自分で大きくしてしまうことがあるんです。
そして、心が疲れていることにも気づかず、ただただ目の前のことをこなそうとしてしまう。
周りからは「頼りになる人」と思われても、自分の中では余裕なんてまるでなくて。
そうやって無理を続けていると、「もうどうでもいい」「ばかばかしい」と感じてしまう瞬間が訪れてしまうんです。
まずは、自分のまじめさを認めてあげること。
そこから、少しずつ肩の力を抜くヒントが見つかるかもしれません。
感情を抑えることが習慣になっていないか
忙しい現場では、「泣いてる場合じゃない」「怒ってる暇なんてない」と、感情を後回しにしてしまうことがよくあります。
その場を乗り越えるには必要なことかもしれません。
でも、それが続くと、気づかないうちに自分の本当の気持ちを閉じ込めてしまうようになるんです。
たとえば、モヤモヤしているのに「気にしすぎかな」と思って流してしまう。
そうやって積もったものが、ある日「ばかばかしい」という言葉になって噴き出してしまうことも。
感情を無視していると、心がどこか置いてけぼりになってしまいます。
ときには、自分の感情にちゃんと耳を傾けてみる時間を持ってみてください。
紙に書いてみたり、信頼できる人と話してみたり。
その一歩が、心を整えるきっかけになることもあります。
感情労働としての看護が抱える見えないストレス

看護師という仕事には、マニュアルでは処理できない場面がたくさんあります。
相手の気持ちを感じ取り、表情や声のトーンから「今、何が必要か」を読み取る力が求められることも。
その一つひとつに真剣に向き合っていくからこそ、心にかかる負荷も大きくなっていきます。
ここでは、感情に寄り添う仕事だからこそ抱えやすい、見えにくいストレスについて掘り下げていきます。
感情を読み取りすぎる人が抱えやすい疲れ
「この患者さん、今日ちょっと元気がないな」
そんな小さな変化にも気づける人は、看護の現場でとても重宝されます。
でも、その力があるからこそ、人知れず心が疲れてしまうこともあるんです。
たとえば、相手の気持ちを考えすぎて、自分の気持ちを押し殺してしまったり。
ちょっとした言葉や態度に敏感に反応して、必要以上に責任を感じてしまったり。
共感する力が強い人ほど、相手の感情を自分の中に取り込んでしまいやすいとも言われています。
優しさと引き換えに、自分自身がすり減っていく。
その疲れに気づくのが遅れてしまうことも多いから、意識して「自分の気持ち」に目を向ける時間を取ってみてください。
優しさが自分を追い込むこともある
「かわいそうだから私がやるよ」
「忙しそうだし、声をかけるのは後にしよう」
そんな風に、誰かを気づかって行動する場面、看護師の仕事ではとてもよく見かけます。
でも、そうやって周りに優しさを向けることが、結果として自分を追い込むことにもつながってしまうんです。
本当は疲れていたのに無理をしてしまったり、断りたかったのに言えなかったり。
そうした積み重ねは、気がつくと大きなストレスになっていきます。
優しくあろうとすることは素敵なことです。
でも、それが続くと、自分自身に対する優しさが後回しになってしまいます。
ときには「今日は無理」と自分の限界を認めてみる。
それも一つの優しさのかたちです。
「患者ファースト」で自分を後回しにしていないか
看護の仕事では、「患者さん第一」という考え方がベースにあります。
それ自体はとても大切で、揺るがない価値観でもあります。
けれど、それが行きすぎてしまうと、自分の感情や体調を無視してしまう原因にもなってしまうんです。
たとえば、休憩を削ってまでケアを続けてしまったり、自分のしんどさより患者さんのニーズを優先し続けたり。
それが習慣になると、気づいたときには「自分がどんな状態なのか分からない」と感じるようになってしまうこともあります。
「自分を大切にすることは、わがままじゃない」
そんな視点を持ってみるのも、大切な一歩かもしれません。
「ばかばかしい」が続くときの心のサイン

毎日の中で「ばかばかしい」と感じる回数が増えてきたとき。
それは心が少しずつ疲れてきているサインかもしれません。
無理を重ねていると、感情の変化に自分では気づきにくくなることがあります。
だからこそ、こうした変化に敏感でいてほしいんです。
ここでは、そんなときに現れやすい“心のサイン”を見つめていきます。
何をしても楽しく感じなくなる
以前は好きだったはずのことが、何となく面倒に感じたり。
気分転換のつもりで出かけても、心が晴れなかったり。
そんな風に「楽しい」と思えることが減ってきたとき、それは少し注意しておきたいポイントです。
日々の疲れやストレスが、気づかないうちに気持ちを鈍らせてしまっているのかもしれません。
どんな人でも、仕事が忙しいと余裕をなくすことはあります。
でも、それが続いていくと、自分らしさまで見失ってしまうことも。
そんなときは、ほんの少しでいいので心が「ほっ」とできる時間を意識的につくってみてください。
朝が来るのが怖いと感じたら
夜になると「明日が来なければいいのに」なんて思ってしまう。
それほど気持ちが重くなる日もあります。
出勤前になると頭が痛くなったり、身体が動かなくなったりすることもあると聞きます。
これは、心が限界に近づいている合図かもしれません。
「甘えじゃないの?」と思われそうで言い出せない。
そんな声もありますが、身体や心が出すサインには、ちゃんと理由があります。
そういうときは、自分に少しだけでもやさしくしてあげてください。
無理せず、今の自分の状態を見つめてみることが大切です。
小さなことにイライラしてしまうとき
いつもなら流せたような一言に、なぜか強く反応してしまったり。
誰かのちょっとした行動に、イライラが止まらなかったり。
そういうとき、自分でも「なんでこんなに怒ってるんだろう」と不思議に感じるかもしれません。
それは、本当は怒りたくて怒っているわけではなくて、心の奥で悲しさや不安を抱えているからかもしれません。
感情には理由があります。
そして、その感情に丁寧に目を向けることが、自分自身への理解につながります。
「こんな自分、嫌だな」と責めるのではなく、「今ちょっと疲れてるのかも」と思ってみてください。
心が折れる前に知っておきたい考え方

毎日がんばって働いている中で、「もう無理かも」と感じたことはありませんか。
そう思ったときにこそ、知っておいてほしい考え方があります。
それは、無理をやめるためのヒントだったり、気持ちに余白をつくる考え方だったり。
すべてを解決できなくても、視点が少し変わるだけで、心の負担がやわらぐことがあります。
ここでは、そんな“やさしい思考の切り替え”を紹介していきます。
全部背負わなくてもいいという感覚
責任感がある人ほど、「自分がやらなきゃ」と思いやすい傾向があります。
でも、全てを一人で抱えるのは、どんな人でも限界があります。
たとえば、他の人が手を抜いているように見えても、自分が完璧にこなさなければいけないというプレッシャーを感じることも。
そんなときは、「誰かに任せることも仕事の一部」と考えてみてください。
助けを求めることは、決して弱さではありません。
周囲を信頼してみることで、自分の心にも余裕が生まれてくるはずです。
背負う荷物を少し軽くしてもいい。
そう思えるだけでも、気持ちはラクになります。
完璧を求めることから自由になる
ミスをしないように。
患者さんにも、同僚にも、迷惑をかけないように。
そんな気持ちが強くなりすぎると、自分自身に過剰な期待をかけてしまうことがあります。
でも、完璧な人なんていません。
むしろ、完璧を目指すあまり心がすり減ってしまうことの方が怖いです。
ときには「ここまでで大丈夫」と線を引いてみることも必要です。
自分を責める代わりに、「よく頑張ってるな」と認めてあげる。
小さなゆるしの積み重ねが、心の安定につながっていきます。
「仕方ない」を使って心を守る
この言葉、冷たく聞こえるかもしれません。
でも、感情を整理する上で「仕方ない」と思うことが、意外と心を助けてくれることがあります。
たとえば、理不尽な指示や、急な予定変更。
頑張っても結果が出なかったとき。
「どうしてこんな目に」と思うよりも、「こういうこともある」と気持ちをゆるめるだけで、ずいぶんと違ってきます。
もちろん、無理やり納得する必要はありません。
ただ、自分の心を守るために、感情を一度やさしく手放してみる。
そのための「仕方ない」という言葉だと思ってみてください。
同じ状況でも「ばかばかしい」と感じにくくなる工夫

まったく同じ環境でも、「もうやってられない」と感じる日もあれば、意外と落ち着いて受け止められる日もあります。
実は、心の状態がちょっと整っているだけで、感じ方はずいぶん変わるんです。
ここでは、気持ちを軽く保つためにできる、日々のちょっとした工夫を紹介していきます。
心に“余白”をつくる習慣
朝の準備をいつもより少しゆっくりしてみる。
帰宅後はスマホを置いて、お茶をゆっくり飲んでみる。
そんなほんの少しの「余白」が、心のクッションになってくれることがあります。
仕事で頭がいっぱいになっていると、どんな出来事も強く響いてしまいます。
でも、余白があると、気持ちに余裕が生まれる。
それは、ちょっとした感情の波にも冷静でいられる時間を与えてくれます。
忙しすぎる毎日の中でも、意識して「何もしない時間」をつくってみてください。
自分の気持ちに名前をつけてみる
モヤモヤしているとき、「これって怒り?それとも寂しさ?」と、自分の感情に名前をつけてみるだけで、気持ちが少し落ち着くことがあります。
気分が乱れているときほど、感情の正体が見えにくくなります。
だけど、その気持ちに言葉を与えることで、冷静さが戻ってくる瞬間があるんです。
たとえば「悔しい」「疲れてる」「期待してた」など、単語にするだけでも違ってきます。
心がざわついたときは、ぜひ試してみてください。
自分自身との距離感が、少し優しくなります。
誰かに話すことで整理されることも
頭の中でぐるぐると考えていることも、人に話してみると不思議とスッキリすることがあります。
言葉にすることで、思考が整理されるんですね。
それに、「そんな風に思ってたんだね」と受け止めてもらえるだけで、気持ちはずいぶん軽くなります。
職場の同僚でなくてもいいんです。
友人や家族、あるいは外部のカウンセラーでもかまいません。
話してみる、という手もあります。
一人で抱え込まずに、感情を少しだけ外に出してみる。
その小さなアクションが、心に余裕を戻してくれることがあります。
職場環境が与える心理的負担と向き合う

どれだけ頑張っても、環境そのものに問題があると、心がすり減ってしまうことがあります。
人間関係、働き方、コミュニケーションの空気。
そういった「目には見えにくいけれど、確実に心に影響を与えるもの」に、少しずつ疲れを感じるようになることも。
ここでは、そんな職場の空気が与える心理的な重たさに、そっと目を向けてみます。
無意識に自分を責めていないか
何かうまくいかないとき、すぐに「自分のせいかもしれない」と考えてしまう。
そんなクセがついていないでしょうか。
職場でのミスや注意されたことがあると、たとえそれが理不尽だったとしても、つい自分を責めてしまう人は少なくありません。
でも、その背景には「責任感の強さ」や「人に迷惑をかけたくない」というやさしさがあるんです。
自分を責めてばかりいると、どんどん心が閉じてしまいます。
ときには、「今の対応、本当に私のせい?」と疑ってみる視点も持ってみてください。
そのひと呼吸が、気持ちに余裕をつくるきっかけになることもあります。
「それ、おかしくない?」と感じたら
上司の指示、職場のルール、同僚とのやりとり。
「どう考えても納得いかない」と思う場面があったとしても、長くその空気の中にいると、違和感に鈍くなってしまうことがあります。
でも、もし心のどこかで「変だな」と感じているなら、その感覚はとても大切にしてほしいんです。
看護師としての専門性や役割がある中で、空気に飲まれずにいられる感性。
それが、心を守る防波堤になってくれます。
小さな違和感でも、見過ごさずに「これは変じゃない?」と心の中で確認してみる。
そうすることで、職場の圧に流されすぎない自分を保てるようになります。
気持ちを置き去りにしないために
職場での業務が忙しくなると、どうしても気持ちよりも「動くこと」が優先されてしまいます。
でも、それが続くと、自分の感情にフタをしてしまう癖がついてしまうんです。
たとえば、嫌だなと感じたことを我慢してしまったり、納得いかないのに黙ってしまったり。
そんな日々を積み重ねていると、ふとした瞬間に心がぽきっと折れてしまうことがあります。
だからこそ、自分の気持ちを見つめる時間を持つことが大切です。
忙しい中でも、少し立ち止まって「今、どんな感情を抱えているのか」を意識してみる。
その習慣が、心を大きく守ってくれます。
心を守るための具体的なセルフケア

心が疲れてきたとき、自分を立て直す力を持っておくことはとても大切です。
それは特別なことをするわけではなく、小さな習慣の積み重ね。
自分自身の「調子を整えるためのスイッチ」をいくつか持っておくと安心です。
ここでは、すぐに始められるセルフケアのヒントをお伝えします。
スマホを置いて深呼吸する時間を持つ
情報に触れ続けていると、気づかないうちに心が休まらなくなってしまいます。
スマホを手放して、ほんの数分でいいので目を閉じて深呼吸してみてください。
呼吸をゆっくりと整えるだけで、気持ちがスーッと落ち着いていく感覚が得られます。
「今ここにいる」ことを感じる時間。
それだけで、思考の渦から少し距離を取ることができます。
忙しい日々の中でも、深呼吸の習慣を取り入れてみてください。
それは、心を整える第一歩になります。
心をリセットできる小さなルーティン
毎日同じ音楽を聴く。
お気に入りのマグカップでコーヒーを飲む。
帰宅したらまずお気に入りの香りを焚く。
こうした小さな「お決まりの動作」が、日々のストレスをやわらげてくれます。
ルーティンには、脳を安心させる効果があると言われています。
それは「今日もいつも通り、大丈夫」というサインになるからです。
一日の終わりに心をリセットする時間をつくること。
それが、明日へのエネルギーを蓄える助けになります。
「今日もよくやった」と自分に声をかける
つい誰かのために頑張りすぎて、自分を後回しにしてしまうことってありますよね。
そんなときこそ、夜寝る前に一言だけでもいいので、自分をねぎらってみてください。
「今日も仕事に行った」
「ちゃんと笑顔で患者さんと話せた」
「休まず出勤できた」
それだけで、十分すごいことです。
自分で自分を認めてあげることで、心の中に少しずつ自信が芽生えてきます。
それは、静かで温かなセルフケアのひとつです。
もう限界と感じたときに考えてほしいこと

心と体のエネルギーが底をついてしまったような感覚。
「もう無理」「がんばれない」
そんな風に思うことがあっても不思議ではありません。
限界を感じたときに無理に踏ん張ろうとすると、さらに自分を追い詰めてしまうこともあります。
そんなときにこそ、大切にしてほしい考え方をここで紹介していきます。
逃げることは「負け」ではない
今の環境があまりにもしんどいと感じているなら、そこから距離を取ってみるという選択肢もあります。
日本の職場文化では「逃げる=甘え」と見なされがちです。
でも本当は、今の自分を守るための立派な決断です。
体調を崩してまで働き続けることに意味があるでしょうか。
苦しみ続けることが、責任感を示す唯一の方法でしょうか。
そうではありません。
一度立ち止まって、自分にとって本当に必要な選択は何かを見つめ直してみる。
その勇気が、人生を大きく変えるきっかけになるかもしれません。
転職=後退ではないという視点
「ここで続けられないなんて、自分はダメだ」
そう思ってしまうこともあるかもしれません。
でも、合わない職場に無理して居続けることが正解だとは限りません。
働く場所を変えることで、自分らしくいられる環境に出会えることもあるんです。
実際に、思い切って転職したことで「やっと呼吸ができた」と話す人もいます。
キャリアの道筋は人それぞれ。
一歩引いたように見えて、実は前に進む準備をしているだけのこともあります。
今の自分を責めるより、「次を考えてもいいかもしれない」と思ってみる。
それも前向きな一歩です。
「私には無理」と感じた自分も受け入れる
「もう無理」「やってられない」
そう感じることが、看護師として失格なわけではありません。
人には、それぞれ限界点があります。
それを認めることは、決して恥ずかしいことではありません。
がんばってきた証拠でもあります。
だからこそ、自分の限界を受け入れることも大切なセルフケアのひとつです。
「こんな自分でも大丈夫」と思えるようになったとき、また少し前を向けるようになります。
立ち止まることは、心のバランスを整えるための時間。
その時間を、自分にゆるしてあげてください。
「看護師でよかった」と思える未来を取り戻すために

つらいときほど、「もうこの仕事向いてないのかも」と感じてしまうものです。
でも、心のどこかには「やっぱり看護師という仕事が好き」という気持ちが残っている人も少なくありません。
ここでは、心が苦しくなっても、少しずつ希望を取り戻していくためのヒントをお届けします。
小さな喜びに目を向ける力
感謝の一言、患者さんの笑顔、ふとした雑談のぬくもり。
そういった些細な瞬間にこそ、看護師という仕事の魅力が詰まっています。
忙しさのなかで見過ごしてしまいがちだけれど、意識的にそこに目を向けてみると、心にあたたかさが戻ってくることがあります。
誰かの支えになること。
その喜びをもう一度感じてみるのも、一つの再出発です。
完璧な毎日じゃなくてもいい。
その日一日を、ちゃんとやりきった自分を認めてあげましょう。
働く意味を自分で再定義する
「なぜ看護師になったんだっけ?」
そんな問いを、自分自身にもう一度投げかけてみるのもおすすめです。
給料や評価だけでは語れない“やりがい”や“価値”が、この仕事には詰まっています。
それに、働く意味は時とともに変わっていくものです。
昔と同じ理由でがんばらなくてもいい。
今の自分がどんな風に生きていきたいのか。
それに素直になって、看護という仕事と向き合ってみる。
その姿勢が、前向きな気持ちを育ててくれるはずです。
自分の心と折り合いをつけるということ
誰かのために働きながらも、自分の感情を置き去りにしていないか。
ときには、そう問いかけてみることも大切です。
すべてを受け入れなくてもいいし、全部を好きになる必要もありません。
だけど、「今の自分はここまでが限界」と認めること。
「今日はちょっとつらかった」と素直に思うこと。
それを許せるようになったとき、自分の心と少しずつ折り合いがついてきます。
気持ちにフタをせず、正直でいる。
それが、これからの看護師人生を穏やかにする鍵になるかもしれません。
まとめ
「ばかばかしい」と感じてしまう自分に、後ろめたさを抱えていませんか。
でも、その感情は、頑張ってきた証でもあります。
看護という仕事は、目に見えないストレスが積み重なりやすいもの。
それでも、日々を支えている一人ひとりの思いやりと努力が、現場を支えていることを忘れないでいてください。
今回紹介した考え方やセルフケアの方法は、すぐに劇的な変化をもたらすものではないかもしれません。
でも、小さな積み重ねが心を整える力になります。
「ばかばかしい」と感じたその先にも、自分にとって大切な気持ちや価値があるかもしれません。
ほんの少し、心をやさしくする選択を増やしていきましょう。
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